懸恋-keren-
超短編
2004年7月23日金曜日
追跡
男の子の影が一人で歩いているので付いていくことにする。
年は8つくらいだろうか、と推測する。しかし顔がまったくわからないので、まったくの見当違いもありうる。
陰に入った時に見失わないように気をつけながら追い掛ける。
男の子の影はビジネス街に向かっているようだ。
急いでいるらしく、段々と早足になり、ついに駆け出した。わたしも走る。
そしてついに大きなビル群の陰に入ってしまった。
私は陰の終わりで一時間待った。滅多に吸わない煙草をふかして待ったが、とうとう男の子の影は出てこなかった。
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