台風が近付いていたあの晩、ぼくは七歳だった。
雨がガラス窓に打ち付けられる様子にぼくは震えた。
ぼくは布団から這い出て大きなポケットのついたズボンを履き、ベランダに出た。
風雨はまたたくまに全身ずぶぬれにした。
窓に強くぶつかり、すでに事切れている者もいくつかあった。
ぼくは雨にまざって時折落ちてくるそれをすぐに見分けられるようになった。
落ちてくるそれを握り潰さないように掴み、ズボンのポケットに入れていく。
助けてもタカが知れているのはわかっていた。
でも見殺しにはできなかった、七歳の夏の夜。