懸恋-keren-
超短編
2004年7月2日金曜日
風の透き間に
日常、我々は他人にぶつからぬよう歩く。
だが、人間同士がぶつからなくても影同士は頻繁にぶつかっている。
彼らは痛くも不快でもないが、影には影の礼儀作法があるので、挨拶を交わす。
彼らは、歓声をあげ、口笛を吹いて挨拶をする。
影の世界はなかなか賑やかであるらしい。
風向きか変わる、ほんの透き間に、影の挨拶は聞こえてくる。
もしも聞こえたら、陽気な気分になるだろう。私がそうだから。
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