懸恋-keren-
超短編
2004年7月12日月曜日
自転車に乗れるよ
五歳になったユウは自転車に乗る練習を始めた。
「よう、ユウ。どれ、練習手伝ってやろうか」
「ううん、もうひとりで乗れるよ!見てて!」
ユウは不安定ながら、確かにひとりで乗れるようになっていた。
まもなくスイスイ走り回れるようになるだろう。
「すごいなぁ。もっと見せてみろよ」
ユウは大真面目に自転車を漕ぐ。倒れそうになっても寸前でグッと堪える。
おや?よく見ればユウの影が、自転車の影を後から支えながら走っているではないか。どうりで転ばないわけだ。
私は腹を抱えて笑う。ユウはひたすら自転車を漕ぐ。
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