2003年12月29日月曜日

引く手あまたの毬子嬢のこと

主水くんが髪を洗われている間にも、何人かの人が毬子嬢に声を掛けていった。
「マリー、あとで頭を洗って欲しいんだ」
「マリちゃん、背中流してくれよう」
「頼んだよ、マリー」
頭を流し終えたところで主水くんは言った。
「おばちゃま、ありがとう。ぼくはもう自分でできますから。ほら、丈二おじさんが待ちくたびれてのぼせちゃいますよ」
「あら、ジョージ、あんなに真っ赤な顔して。そうねぇ、残念だけど」
毬子はウィンクして去っていった。
やっと解放された主水くん、心底ほっとした。
「あれ、博士はどこにいるんだろう」