阿礼の手料理はかなりのものだった。
出てくるまでにずいぶん時間がかかったけれども。
なにしろ阿礼ときたら材料をひとつ手に取る度
「レタスはデラックス百科事典5863頁に……」
「デラックス百科事典によればマッシュルームは……」
と始めるのである。
阿礼はシチューとサラダを作った。
それからションヴォリ氏たちが初めてみるパンが出た。
掃部くんはこのパンがいたくお気に召したらしく以後ずいぶん「あれっくのぱんがたべたい」とダダをこねていた。
黄色い酒を飲んだ阿礼とションヴォリ氏はご機嫌だった。
とても盛り上がっていたが主水くんには二人がお互い独り言を言っているようにしかみえなかった。
掃部くんは雪だるまになつき、冷蔵庫の扉を開けっ放しにするのでなんども阿礼に叱られた。
こうしてションヴォリ氏一行は阿礼宅で楽しい一夜を過ごしたのだった。