2003年12月22日月曜日

憂鬱な主水くんのこと

桃色の洗面器を抱え、石鹸をカタカタ言わせながら機嫌よく歩くションヴォリ氏の隣で主水くんは憂鬱であった。
実は主水くん「河童・ド・キャア」が少々苦手なのである。
ぼそりと主水くんは言った。
「博士、やっぱりサンライズ湯にしませんか?」
「34 35 36 37 38 39」
ションヴォリ氏は蟻の行列を数えるのに夢中で
主水くんの声などまるで聞いていない。
「ダメだこりゃ」

大通りの一番外れにある石造りの大きな建物が公衆大浴場「河童・ド・キャア」である。
ワンコインでいつでもだれでも風呂に入れる。
「あーぁ着いちゃった。」
主水くんの憂鬱はいまや最高潮である。