「こちらへ」
阿礼に続き一行は白い光があふれる背の高い建物の一つに入った。
建物の中に入るとまたすぐに扉があった。そのような造りの建物は長く生きてきたションヴォリ氏でも初めてだった。
阿礼が何やら丸い物に触れると扉が音もなく開き、中に入る。中は狭い。四人でいっぱいの広さである。
「12階に小生の住まいがござる」
と言って「12」と書かれているところを阿礼が触れた。
「え?そんなに高いところに?」
主水くんは少し後悔していた。阿礼がこんな遠くて不思議な街に住んでいるとは思ってもみなかった。
身体がスゥとする。耳もおかしな感じだ。
緊張している主水くんのに対し、ションヴォリ氏は好奇心旺盛である。
「これは動いておるのですな?なんという乗り物で?
エレキベイター。はー。ここを触ると? ふむふむ。なるほど」
阿礼は阿礼でションヴォリ氏の疑問にいつもの調子で答えている。
「エレキベイターはデラックス百科事典の386頁に……」
チンと音がして、 扉が開いた。
「到着いたした」
「どこに?」
「小生の住まい」