懸恋-keren-
超短編
2003年3月31日月曜日
午前零時
ラジオの時報とまったく、まさしく、同時にベルは鳴った。
胃が縮みあがった。
あまりに驚いて、受話器を取ることができない。
だがベルは鳴り続ける。10回、20回……夜中の電話ほどイヤなものはない。
不幸を知らせる警報に聞こえる。
実際そんなことがこれまで三回あった。
ベルはもう34回目。
出なければ朝まで鳴り続けそうだ。
深呼吸をひとつして意を決した。
「もしもし……」
「HAPPY BIRTHDAY!!」
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