屋根に上って夜陰に溶け込む。
ヤカンに茶を入れて、月明かりに浮かぶ向かいの山を眺める。
あの山には八百屋をやっているヤマンバがいる。
ボクは夜行列車に乗って山を降りると薬局によって薬を買ってヤマンバに届ける。
するとヤマンバはたくさんの野菜をくれるんだ。
ヤマンバの娘は柳腰の美人で、これはボクの彼女ね。
柔肌で山吹色の着物がよく似合うんだ。
ボクの山小屋で夜半過ぎまでふたりで休んでいるとやっぱりヤマンバに
怒られちまって自棄酒飲むと彼女にも怒られてサ……。
実はややが生まれたんだ。
やんちゃな山男になりそうだんだ。