懸恋-keren-
超短編
2003年3月1日土曜日
ぬ
盗人が抜き足差し足で盗んだのは、ぬいぐるみだった。
盗人は、抽んでた技術を持っていた。
主の興味がなくなった…つまり忘れられたぬいぐるみだけを間違いなく抜き出して盗むのだ。
万事抜け目なくやりとげる。
そして家に帰り、ほつれた縫い目を修繕し、温い湯にゆっくり浸かった後、ぬくぬくとぬいぐるみを抱いて眠るのだ。
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