2003年3月11日火曜日

望郷の念にかられた北極星は芒洋な宇宙を彷徨し始めた。
驚いたのは船の帆を揚げていた水夫である。
彼らは呆然となり、天の神に宝物を納め奉拝した。

北極星は吠えた。芒芒たる宇宙にむかい母星を求めて。
彼は誇りを持っていた。
人々の指針として感謝される星は他にいないという自負である。
しかし、本拠の方角も分からなくなった今、誇りは崩壊した。
ぽつんと佇んでいただけの日々は程遠くなってしまった。
このままぼんやりと星屑になる日を待とう。

翌日、水夫たちはほっとした。北極星はいつものように輝いている。