懸恋-keren-
超短編
2003年3月16日日曜日
も
もう森には入らないと申し出を受けたときには、やはりショックだった。
猛虎のようなじいさんにも耄碌する日が来ると頭ではわかっていたのに。
じいさんは猛勇なだけでなく、魑魅を手懐け魍魎とよく話をした。
森守としての才能をすべてもっていた。そしてそれは彼しか持っていないのだ。
もはやこれまでだ。
じいさんは黙々と最後の仕事の準備をする。
最後の守が最後の森を、燃やす時がきた。
燃え上がる、朦朧とする、
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