歯抜けの番人はパントマイムが好きでパラパラと奇妙な動きで働いている。
番人の仕事は旅籠屋の腹黒く嫌われ者の経営者の屋敷の蝿取りと
晩鐘を打つことだけ。
が、番人はとても楽しく働いた。
そしてどこかの芝居の端役のように何事か話ながらパラパラと動いた。
町の人は番人を白眼視した。
そして旅籠屋の事もますます悪く言った。
「旅籠屋は白痴か発狂人を雇っている」
「馬鹿が屋敷を徘徊してる」
だが禿の旅籠屋は馬耳東風、実は彼らは莫逆の友なのだ。
確かに番人は賢くはない。だが蛮力にも白面があることを知っている。