懸恋-keren-
超短編
2003年4月1日火曜日
AM1:00
ブ、ブブブ……
携帯が身悶えるのは午前一時。
仕事を始める合図。
寝ている家族に気付かれぬようにそぉーとドアを開け夜の住宅街へ繰り出す。
物音が響かないようにしなくちゃ。街灯の下を通ると、自分の影に怯えたりして。
僕は一軒の家の前で足を止め二階を見上げる。鼓動が速くなる。
あの娘の部屋の明かりはついていない。
昼間だったらこんなジロジロ見れないよな。
明日は学校でオハヨって言いたいな。よし、絶対言うぜ。
再び歩きだす。軍手の手にゴミ袋を提げて。
収集日前の秘密の仕事。
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