君が腕時計を外してスーツのポケットに入れたら、キスの合図。
抱きすくめられながら、私はポケットの中に手を入れる。
腕時計に「魔法」を掛けるのだ。手探りで竜頭を見つけると、引っ張ったり、くるくる回したり、軽く爪で弾いたり。
腕から外されて、気を抜いていた君の腕時計は、多いに混乱しているはずだ。『まだ零時ですよ。 いいえ、まだまだ二十二時でした……?』
君は「夜は長いよ」なんて囁くけれど、いつだって瞬く間に明けてしまう。だから、「長い夜になるため」の小さないたずら。
今日は、ちょっと毛色の違ったものが書けた。エロが足りない?謝ります。ごめんなさい。
豆本なんかを作っているから、さぞや器用な人だろうと思われがちだが、不器用だ。そしてどんくさい。
湯たんぽに、蛇口から湯を入れるだけで、なんでこんなにびしょびしょになるんだ……。