懸恋-keren-
超短編
2010年1月18日月曜日
羅漢
腕時計をした羅漢さんを見つけた。
姿や表情が大雑把なのに、時計だけが細かい彫刻だった。思わず覗き込む。
六時三十分、と読めた。夕方なのか、朝なのか。どちらにしろ憂いを帯びた時刻だ。
左手首を睨んだ姿で静止し、長い年月をかけて風化していく羅漢さん。
石で出来たその時計もまた、確かに時を刻んでいる。
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