懸恋-keren-
超短編
2010年1月11日月曜日
大好きだった人たち
両手両足に腕時計をした人がいる。
彼の四人の祖父母の形見なのだそうだ。
時計はいずれも壊れているのだが、時々思い出したようにチクタク、と動くことがある。
そんな時、彼は、祖父母の匂いや、皺やシミだらけの手をありありと思い出して、おんおんと人目も憚らずに涙を流すのだ。
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