2008年3月2日日曜日

暇をください三分ばかり

「三分」
願いが聞き届けられるとは思わなかったけれど、なぜかあっさり、三分間の暇をもらうことができた。
わたしはどういうわけか監禁されている。同棲のはずだったのに。
彼はわたしを束縛するあまり、何日もしないうちに仕事にいかなくなった。買い物にもいかないから、食事は買い置きのインスタントラーメンだけ。それも昨日の夜で終わった。
彼は暴力はふるわないけれど、わたしの一挙手一投足をただ見つめ続けている。
わたしは、そこに異様な快感を見出だしている自分に気付いて、怖くなった。

暇をもらった三分間、まず外に出て伸びをした。母に電話をし、早口で事情を告げた。
それから、彼に電話をした。
「もうわたしを見るのはやめて」
「どうして?」
その声は携帯電話からではなく……。
ストップウォッチを持った彼が瞬きもせずに、わたしの顔を凝視している。ずきんと身体が熱くなる。