2006年12月3日日曜日

夢、破れる

「珈琲ノ瀧」という滝に行くのが、長年の希望だった。
しかし、どこにあるのか、とんとわからぬ。
各地の図書館で、文献を調べること三十数年。
ようやく珈琲ノ瀧の在りかを見つけたのだ!
私はすっかり年を取ってしまった。だが、幸い足はまだ動く。

珈琲ノ滝は、草原に唐突にあるのだった。
天からコーヒーが注がれているような光景である。
湯気が立ち込め、コーヒーの香りが辺りに漂う。
私は、愛用のコーヒーカップを持ち、滝壷に入っていった。長靴越しにコーヒーの熱さを感じる。
滝の流れにカップを差し出すと、コーヒーカップは強い水圧で粉々に砕け散ってしまった。