懸恋-keren-
超短編
2006年12月17日日曜日
片恋の疑い
「やっぱり恋じゃないのか」
とアイスコーヒーで濡れた彼のズボンを拭きながら自問する。
すぐ隣にいるのに、ワクワクしない。目を見つめてみても、ドキドキしない。ちっとも。さっぱり。まるっきり。
今だって、こうしてふとももを触るなんてことをしているのに、冷めたこと考えている。
それなのに、毎晩のように寝る前に思い浮かぶのは何故?次はいつ会えるかしらと考えるのは何故?
冷たいコーヒーはすっかりズボンに染み込んでしまったのに私はまだハンカチでふとももを撫でている。
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