懸恋-keren-
超短編
2006年12月1日金曜日
今夜は眠れない
コーヒーの中は温かく、目が冴えているような、まどろんでいるような、不思議な感覚だ。
彼が「今日はコーヒー風呂にしたよ」と言った時には、冗談だと思った。
バスルームを開け、濃厚なコーヒーの香りと焦げ茶色の湯を見た時には、何の罰ゲームなのかと思った。
足を付けるのをずいぶんためらったけれど
師走の夜、一度裸になったのに湯に入らないのは辛い。
わたしは諦めてコーヒーに身を浸したのだった。
こんなにコーヒーの香りを全身に纏って、今夜は眠れないかもしれない。彼はどうするつもりだろう?
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