「車の用意ができましたよ、博士」
「ほーい。さ」
空色のステッキを振り回しながらションヴォリ氏がおもてに出てきた。
外には車輪がついた大きな空色の木箱があるだけだ。
これがションヴォリ氏のマイカーである。
主水くんの言う「準備」は木箱の外側にションヴォリ氏の衣装と合わせ、空色に塗ることだったのだ。
まだ鼻をツンと刺すペンキの臭いがする空色のマイカーにションヴォリ氏は「どっこらせ」と乗り込んだ。
主水くんも「どっこいしょ」と乗り込んだ。
いつの間にか来ていた掃部くんも「よいしょ」と乗り込んだ。
「しゅっぱつー」
掃部くんの号令で木箱は音もなく動き出した。
もちろん運転手は羅文と四文だ。