2009年2月25日水曜日

化石村

 長老の家に泊まることになった。
 歓迎の酒だと言って出されたグラスを受け取って、俺は尋ねた。
「よい色ですね、ウィスキーですか」
 長老は白くなった眉毛を動かしながら、答えた。
「旅の者よ、この村の古い名をご存知かな。ここは化石村と呼ばれてきた。この酒は、村で採れた琥珀で作ったものだ。お飲みなさい」
 そういえば松脂の香りがする。一口含むと、強いアルコールと針葉樹の香りに包まれ、思わず目を閉じた。
「旅の者よ。目を開けて御覧なさい。私の顔がわかりますか」
 そこには精悍な顔の青年がいた。見覚えのある眉毛が動く。