「チョット・バカリー、このコルネットはいつから吹いているの?」
少女の問いにコルネット吹きは懐かしそうに目を細める。
「十一歳の時、そう、ちょうどキナリと同じくらいの時だ。コルネットの実った樹を見つけたんだよ。コルネットがたわわに樹からぶらさがっていた。三日月の晩だったけれど、コルネットは眩しいくらいに輝いていた。僕は一番低いところにぶらさがっていたコルネットを、何度も何度もジャンプして、ようやく手が届いたのをもぎ取ったんだ。それがこのコルネットさ」
尻尾を切られた黒猫は、月と同じ色のこの小さなラッパが実る樹を見てみたいと思った。