超短編
寒空の下、バラ園内を歩く。人は見えず、小さな草花がちらほら咲いている。頭の中では悩んでも仕方のないことばかりが絶えず流れている。急に強い香りが鼻腔を襲ってきた。季節外れのバラが一輪。大きい。ずいぶん威張っている。そして少し寂しそうだ。傍らのベンチに腰掛け、共に真冬の風に吹かれた。