超短編
五月某日、雨。数日前から始まったアパートの解体を眺める。ベランダからよく見えるが、前を通ったことは殆どない。重機の音が雨音も壊す。屋根が剥がされた建物に雨が降る。そのまま雨で腐って、朽ち果てるといい。あそこに棲んでいた生き物はどうしているのか。建物が朽ちたら、雑木林に戻るといい。(140字)