2025年4月29日火曜日

#春の星々140字コンテスト「原」投稿作

雨の日にだけ辿り着ける原っぱがあった。よく知る道なのに「こんな脇道あったかしら」と、曲がると原っぱに出るのだ。春の雨の日、二十年連れ添った傘が「置いていってください」と泣く。私は一人、濡れて帰った。翌日も雨だった。傘の様子を見に行くと立派な木になっていた。傘の頃そのままの樹形で。(140字)