超短編
漆黒の左眼を持つ人形が言う。「この眼玉の原石を探してください」人形は眼球をコロンと私の手に落とした。「右眼が欲しい」伽藍洞になった眼窩で訴えた。黒曜石か黒瑪瑙か。ついに丸い窪みのある石を見つけた。尖晶石だった。眼玉は窪みにピタリと嵌り、カッと紅くなった。これが元来の色であったか。(140字)