2025年1月31日金曜日

#冬の星々140字小説コンテスト「重」投稿作

 荒れた家だった。手入れされないままの植物が屋内外に放置されていた。「現代の八重葎だな……」と独り言ち、淡々と植木鉢を軽トラに積んでいく。出来心で荷台の植木鉢にホースで水を撒くと、瞬く間に緑が鮮やかになった。花を咲かせるものまである。振り返れば、やけに奇麗になった家が澄ましていた。(140字)