懸恋-keren-
超短編
2007年7月31日火曜日
七月三十一日 封印は解かれた
十五年も閉じ込められていた桐箪笥を探す旅に出た。
重たい粘土の塊をいくつもどかし、液体や粉が入った瓶を何十本も移動させ、ようやく桐箪笥があるはずの場所へたどり着いた。
黴た襖を開けると、黒く埃っぽい桐箪笥があった。
試しに一段抽出しを引っ張ってみる。なかなか開かない。力任せに引いて、やっと開いた。
中には「浪花屋」と書かれた紙が入っていた。
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