2005年10月30日日曜日

果たして僕らは仲良しだったのか

高層ビルの谷間を黒眼鏡をかけた蝙蝠が飛び交う。
ずいぶん明るくなっちまった、この海辺の町。
僕らは走る。足並み揃えて。
象は大量の女たちに揉まれて逃げ出した。足枷を引きずって。
僕らは走る。生まれたままの姿で。
レントゲンを撮ると、胃袋にニッポンの女の子が暮らしていた。
僕は走る。大きな蝋燭の傍をひとりで。
隣に乗り合わせた男がポルノ小説を読むので汽車の中で妊娠した。
僕らは走る。抜け駆けする奴らを放って。
黒眼鏡をかけた蝙蝠たちは、香水瓶に帰っていった。


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佐々木マキ「うみべのまち」をモチーフに