八歳の時、好きな子がいた。年下の子供だった。初恋と呼んでよいのか、どうか。
ある日、ウィスタリアの三本のラインを地面に見つけた。あまりにもきれいだったのでラインを辿って歩くと三輪車に乗った子供がいた。
ドキドキした。
「見つけた」と思った。
その子が通ると、地面には三本のウィスタリアのラインが残るのだった。それはつまり、三輪車タイヤの跡なのだけれど。
あの子に会いたいときにはウィスタリアのラインを辿った。あの子を見つけるといつもドキドキした。そして、後について歩いた。
時々あの子は振り向いて、笑った。
その瞬間だけ、ウィスタリアは途切れた。
もっとドキドキした。
【wistariaC50M45Y0K0】