懸恋-keren-
超短編
2005年10月23日日曜日
操り人間と発条ネコその9
操り人間の安田が歩いていると
「だるまさんがころんだ!」
と声がした。
思わず立ち止まり、ひとつ息をしたところで再び歩き出す。
「だるまさんがころんだ」
今度は構わず歩き続けた。
「安田さんが動いた!」
腰の抜けた安田を、はじめは大騒ぎで弄んでいた子らも次第に飽きて、ひとりふたりと散っていく。
日が暮れはじめて最後の子も帰っていった。
安田は腰を抜かした時よりも複雑な体位で眠りこける。
キンキュウジタイはだるまさんが転ぶと同時に発条が切れた。
次の投稿
前の投稿
ホーム