きゅうりに味噌をつけてかぶりついている河童。
「すみません、すみません」
「そーいう時はありがとう、って言えよ」
「ありがとう、ありがとう」
河童は迷子の息子を探しているうちに自分が迷子になってしまったらしい。
うちの玄関先で干からびかけていたのだ。
水を掛けるとみるみるうちに元気になった。
「実は、わたし未亡人で。夫は息子が生まれてすぐに死にました」
河童は潤んだ瞳でそう言った。
「はぁ」
「息子が見つかったら……私たち親子を飼ってください。きゅうりと水さえあればいいのです」
「うーん。飼うってのは気にいらねえな」
「そんな……」
「結婚、にしよう」