一行は火付け人の後に付いて劇場まで歩いた。
火付け人の様子はいつまで見ていても飽きなかったのだ。
火付け人は狭い通路の中を反復横跳びのごとく、左右の壁に寄りながら火を付けるので忙しい。
しかし、彼の動きはすばやく一行の歩みは遅くはならなかった。
掃部くんは火付け人に合わせて「あいせっふぁいあ と きんど」と大きな声で言っていた。
「こら、掃部。仕事の邪魔をしちゃだめじゃないか。すみません、うるさくて」
と主水くんは謝ったが、火付け人は気にしてないようだった。
「どうでっしゃろ。あいせっふぁいあ と きんど」