ションヴォリ氏一行は開演分秒前に劇場に入った。
売店でジュースとポップコーンを買う。
ションヴォリ氏はチョコレートを欲しがったが、主水くんに止められて諦めた。
ションヴォリ氏、摩耶、百合ちゃん、掃部くん、主水くんの並びで席に付いた。
客席はガラガラだ。
ションヴォリ氏たちの他は親子連れが4組いるだけである。
それもそのはず、274人しか住民がいない町にある、500席の劇場なのだ。
「まだ?」
掃部くんは主水くんに聞く。これで八回目だ。
呆れた主水くんがちょっと怖い顔で睨むと
「もう少しだからね」
とにっこり百合ちゃんが言い、膝をぽんぽんとたたいた。
掃部くんは主水くんに「あかんべー」をしてみせた。
ブーーーーーーーー
開演のブザーがなり照明が落ちる。
「ほ! ほーい!」
ションヴォリ氏は喜びの声をあげた。
「ちょっと博士、やめてください。他にも見てる人がいるんですよ」
「大人四人、子供四人。たったのこれっぽちではないか」
「人数の問題じゃないでしょう」
「あんちゃん、うるさい」