超短編
具合が悪くなったご老人を助け、仲良くなった。おやつを持って訪ね、別れ際には必ず握手した。ある日訪ねると、ご老人の家は影も形もなく、蝉の死骸と一昨日食べた水羊羹の容器が並んで落ちていた。四歳の七夕に「蝉と握手したい」と書いたのを思い出した。