超短編
新しい傘は雨の日をご機嫌にしてくれるはずだった。なのに、この傘は差すと金平糖を降らす。私が通ると金平糖の道ができ、夏の温い雨にゆるむ金平糖を求めて蟻が付いて来る。金平糖をたっぷり食べた蟻はすっかり大きくなり、近頃なぜか私と手を繋ぎたがる。