超短編
舟の仕事に就いて長いが、虚舟だの泥舟だの、剣呑な舟ばかりに乗っている。客も見るから胡乱な者だらけ。川でない所を漕ぐわ、舟が崩れるわ、しまいには必ず遭難するのに、気づけばまた櫂を握っている。俺は確かに渡し守だが、舟を漕いでいる俺は一体誰だ?