超短編
昔いた文鳥のことを思う。あれは文鳥の姿はしていたがブンチョウではなく、フミドリだった。毎朝、鳥籠を覗くと桜色の嘴に一筆箋を挟んで澄ましていた。「昨日の粟は格別に美味」「盛った猫の声は麗しくない」長く生きたが、筆を持つところは終ぞ見なかった。