懸恋-keren-
超短編
2006年7月3日月曜日
もつれる
「あ……もつれちゃった」
と少女が困った顔をする。糸が指に絡まっている。
「何をしてたの?」
「赤い糸と青い糸を混ぜて、青い糸と黄色い糸を混ぜて……」
「紫や緑にしたかったんだね?」
糸たちは、少女の企みをよく承知していた。
勇んでお互いを馴染ませようとしたものだから、もつれ合い、どす黒くなった。
「解いてやろうか?」
糸は僕の言葉に拒絶して、ますますきつくもつれた。少女の指に血が滲む。
*糸*
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