2006年7月11日火曜日

鬱血

「大嫌いな人と離れられないためのおまじない」
と言って、彼女は紫の糸を小指にきつく巻いた。
血がとまり、指先が青白い。巻かれた糸に隠れた部分は、糸と同じような紫色になっていくだろうと想像した。
「結んで」
と言われて、僕は糸の端と端を持つ。冷たい小指に結び目を作った。片方の端は、まだ長い糸が残っている。
「じゃあ、あなたの番。私が結ぶから小指だして」
だんだんと小指が冷たくなってきた。

*結*