2006年1月28日土曜日

Aurora

細く暗い道に突然強い光が射してきて、僕は目が眩んだ。頭が痛んでしばらく歩けないほどに。
ようやく目が慣れてくると、途端に自分が何をしていたのか、サッパリわからなくなった。
「オレ、何してるんだろう」
トンネルのようなところをとぼとぼ歩いていると思っていたのに、オレは白い森にいた。
白い幹に白い葉を繁らせた木々、地面も苔も、虫たちも白かった。
さっきの強い光のせいで目がおかしくなっているんだと思ったけれど、いくら時間が経ってもやっぱり白い。
オレの目を眩ませたはずの太陽はどこにもなく、空はどんな夜より暗い。
輝いているのは木であり大地であり、虫たち、そのものなのか……。
オレは自分も白くなっていることに気付いた。身につけている服も身体も。
森に飲み込まれる!
でも恐怖はすぐに喜びに変わった。
白くなったオレの影は、七色に輝いている。

《笙》