懸恋-keren-
超短編
2006年1月5日木曜日
二人は雪の上に
積もった雪の上で妖精を見つけた。二人いる。
姿かたちはそっくりなのに一人はテキパキしていて、もう一人はしゃなりとしている。
二人の妖精は、せわしなくおしゃべりをしている。
飛んだり跳ねたりしながら大声で言い合ったり、ひそひそ囁きあったり。
でも私には何を言っているのか、わからない。
しゃがみ込んでいたら、お尻が寒くなってきたので声を掛けた。
「何話してんのさ?」
案の定、妖精は消えてしまった。
でも小さな小さな足跡は、しっかりと雪に残っている。
春にはこれも解けてしまうけれど。
《津軽三味線》
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