懸恋-keren-
超短編
2006年1月17日火曜日
弾む水晶
真っ青の空から滑り台が伸びて来た。黄金に輝く長い長い滑り台。
そこを滑り落ちてきたのは、大きな水晶のボールだった。
滑るのももどかしい、といった様子であたふた落ちてくるので、私はクスクス笑ってしまった。
大慌てで転がってきた水晶は、私の腕に飛び込んだ。
やっぱり、水晶だけどボールだった。冷たくて硬いのによく弾む。
大きな水晶を抱えて困っていると、水晶は私のお腹に吸い込まれてしまった。
高く売れるかしら、と思ったのに。
《Trumpet》
次の投稿
前の投稿
ホーム