2005年12月10日土曜日

誰のおかげか

じいちゃんはその年はじめて降った雨水を溜める。
一月の雨、これ以上ないくらいに寒いのに傘も差さずに庭に出てガラスの器を置く。
溜まった雨水でじいちゃんは、墨をするのだ。
じいちゃんの字は自分でも読めないほど汚いのだが
雨水で書いたじいちゃんの書は、何百万で売れる。
俺には、さっぱりわからない。
じいちゃんも、さっぱりわからないそうだ。
ちなみに、じいちゃんが使っている硯と墨と筆は、俺の教材のお下がり(お上がり?)だ。