2005年11月9日水曜日

操り人間と発条ネコその21

発条ネコがひょいと塀に上がり、その向こうへ降りていく。
安田はあたりを見回した。それは袋小路と呼ばれるもの。
回れ右をしてもときた道を戻るのは、安田には考えられない。
彼は塀を登るしかない。発条ネコを追うためではなく、後戻りを回避するために。
塀の向こうは別の町だ。
キンキュウジタイは、町の景色を楽しんでいた。
この町はすべてが懐かしい。
塀を登った安田は肩が抜けた。
彼にとって幸いなことに、塀の向こうに墜ちて、腰が回った。