2005年11月10日木曜日

操り人間と発条ネコその22

塀を乗り越えて気絶して、四時間後に歩き出した安田は、発条ネコの姿を探した。
見失いはしたものの、発条ネコなどそうそういるものではない。
しばらく探せば見つかるだろう。
思い返せば「いつでも緊急事態のネコ」はいつもいつのまにか安田の傍にいたのだ。
ひたすらに歩き続けていた安田の傍にいたということは発条ネコもまた、歩き続けていたということである。同じ方角を見て。
安田は発条ネコの健脚に感心した。
彼は自分の歩みが遅いことを知らない。
キンキュウジタイは整備場に入っている。