2005年11月14日月曜日

操り人間と発条ネコその25

操り人間の後について歩くと、造作なくポスターを見つけることができたのでキンキュウジタイは助かった。
いくら操り人間の歩みが鈍いといっても、立ち止まってくれるわけではないのでキンキュウジタイは大急ぎで爪で引っ掻き、おしっこを引っ掛けなければならなかった。
安田はこの発条の町の出口を見つけた。
結局「いつでも緊急事態のネコ」を見掛けることはなかった。
ネコは何匹も見た。でも「緊急事態のネコ」かどうかわからなかった。
全匹発条ネコだったから。
キンキュウジタイは町を出る操り人間を追い掛けなかった。
たいやきは故郷のものが一番だとわかったから。
発条の町を出た安田は、石につまずいて転んだ。
木枯らしが安田を人形に還す。

おしまい